あの日は、まるでサバンナのようなカラッとした暑さの日だった。あまりにカラッとし過ぎて、どこからか ” カラッ ” っと音が聞こえてくるような錯覚にとらわれそうになったほどだ。
そんなに乾燥していたせいだろうか、息子とのじゃれあいも、どこかしらいつもよりヒートアップしていたように思う。
そんなじゃれあいの中、息子がふと真顔になり、こんな質問をぶつけてきた。
「きりんの首はどうして長いの?」
子供とは、純粋で無知過ぎるが故に、容易そうで難しいことを時々、そしてとんでもないタイミングで尋ねてくる。
とっさの難題に、親父の威厳を保つためにも、決してたじろぐわけにはいかないので、考えを瞬時に巡らす。
巡らしたところで、出てくるものは限られてる。巡らし出てきたものは、
1.そうよ、母さんの首も長いからよ
2.高い木に生えている葉っぱを食べるために毎日首をのばしていたからよ
このふたつ。どちらも明快な答えではないが、2の方が、若干答えっぽいと判断した。
息子は、ふむふむと聞いていて、親父の威厳は守れはした、が、威厳を守るためにテキトーなことを息子に教えていたら、それこそ威厳のカケラもなくなってしまう。
そういうことは、グーグルで解決してしまえばいい。ただ、容易で便利が故に、深みがなくなってしまうというか、自分の力で確認しないが故の欠如感というか…。知ったか風になるのが、最もヤバイ。
グーグル内のある説によると、ラマルクの進化論 (高いところの葉っぱを食べて続けて伸びた)を、ダーウィンの進化論 (長い首の動物の進化) が否定した歴史があるようだ…。
進化論の話をまだ幼い息子にするのは、とても骨が折れる作業で、” 自分で勉強して、わかるようになりなさい ” あたりが、一番良い答えだったような気がしないでもない。
知りたい盛りの子供に、親父の威厳がいつまで保てるか、いろんな意味で大人も日々勉強だ…。