「帰りに芋屋に寄るから─」
これは妻の発言。「うん」と二つ返事をしたものの、芋屋って何だ?の疑問がそのへんをウロツキ始める。
ブカシからの帰り道の話だ。リッポーチカランに住む我々は、ブカシからの帰りは、チカランバラッドで高速を降り、ジャバベカの古いお店がひしめくあの道 Jl. Raya Industri を通り抜けてリッポーチカランへ向かう。
その古めかしい通りに、芋屋があるという。
ウロツキ始めていた疑問が、今度は何だかソワソワしだした。疑問に不安がまとわりつくと消極的になるとは、よく言ったもんだ。
妻は、何やら芋屋までの道案内をしている。似たようなお店が並ぶので、探すのも一苦労か。
これが、芋屋だ─。少なくとも消極的になっている僕は、こんなお店に行こうとは決して思わないだろう。妻がたくましく見えてならない。
芋ははかり売りのようだ。
僕は正直に、”こんなお店によくこようと思うよね” 的なことを妻に尋ねてみると、友人に教えてもらって試したら美味しかったから、とさらり。さらに、多くの駐在妻が利用してるんじゃない、とのこと。
やれやれ、チカランの奥様方はスゴイね、こんな所で買い物をするのだ。実にパワフルだ。そのパワーの源は、好奇心から来るものなのか、安さを求めてのものなのか、美味しいものが食べたい一心から来るものなのか…、おそらくどれも当てはまらないのだろう。奥様方は、僕の思考の範疇外のことをたくさん考えて生きていらっしゃるから。
これが、その芋屋の芋(焼き芋)。さつまいものイメージだ。焼き芋にしてもらうと、Rp 20,000 /kg とのこと。安さにもびっくりするが、何の何の味が絶品なのだ。
これなら、買いに行く価値ありと納得でき、いつのまにやら、不安をまとった疑問はどこかに行ってしまわれていた。
焼き
なま
ジャバベカの芋屋の芋の味に衝撃を受けたのだが、それとはまた質の異なる衝撃が芋屋の隣にある。
ゲーセンである。
芋屋の隣に店を構えるこのゲーセンは、村のたまり場といった風情なのだが、何だかアンバランスな気分になる。
なぜなら、昔の日本の村なら、こういう所にはテレビゲームではなく、将棋や囲碁、コマやベーゴマ、メンコのような遊びが、はびこっていただろうから。(おやつは芋で文句はない、マッチしている)
まあ、こんなだって別に構わない。
別に構わないのだが、テクノロジーと経済力は、ある程度のバランスを保っていて然るべき、というのは僕の勝手な偏見になるのであろう。だから、このゲーセン(遊び場)には、テレビゲームではなく原始的な遊びを無意識に求めてしまう。
が、積極的になった僕がいくら叫んだって、どうにもならない、やまびこすら無反応、ぐらいなもんだ。
ゲーム代は1時間 30〜50円ほど。ゲーム機ごと12時間レンタルもできるようだ。村人にこれが安いのか高いのかはわからんが、流行ってそうな雰囲気はある。
”おい! 子供達よ、目が悪くなるから、外で遊んできなさい!! ” と、言いそうになってしまった。
芋を食べながらゲームがしたけりゃ是非!なかなかどうして安上がりで楽しめるのではなかろうか ⁉︎