インドネシアには、ブラックマジック(黒魔術?)という概念がある。らしい─。
何でもそうなのだが、信じられないことを信じないでいるのは、とても簡単だ。否定を発動させれば良いだけだ。ただ、それでは発展の可能性は閉ざされる。いったん受け入れて見る、これは僕のモットー。
さて、ブラックマジック──、簡単に言うと、オバケが取り付く類の話だ。
イスラムの教えでは、「見える世界(現実・人間の世界)」と「見えない世界(神の世界・オバケの世界)」が、あるという。イスラムに限ったことではなく、他の宗教にもそういう考えはあるかと思う。
そのふたつの世界は、とても薄い壁で仕切られていて(おそらく概念という意味で)、そして行き来が可能なんだとか。
だから、「見える世界」にオバケが現れ、それに人間が出くわすケースがあるという按配。出くわすだけならまだ良いが、オバケはたまに人間の中に入り込み、悪さを働く(飽くまで人間にとっての悪さで、オバケには悪気はないのかもしれない)。
言うならば、オバケが人間の身体に入り込み、意識を支配する、とでも表現すれば良いのであろうか。
例えば、尋常でない発狂をする。子供が常識の範囲外の量の食事を摂る。逆に大人が食事を摂らなさ過ぎて、激ヤセの一途を辿る。朝身体が動かなくなる。事例は、たくさんあるようだ。
そうなった患者?は、もちろん病院に行っても問題は何もない、と医者から診断される。なんせオバケの仕業なのであるから。
医者から何でもない、と言われた場合にどうするか、orang pintar (直訳は賢い人) の登場となる。
orang pintar は、ムスリムの中でも、ある程度の地位の人のことを指し、何と人間の中に入り込んだオバケを追っ払う能力を持っているのだとか。
(やれやれ、このへんまで来ると、いよいよフィクションの世界に放り込まれた気分になるが、受け入れと自我のバランスを上手にとっていくことにする)
水をかけたり、得体の知れぬ飲み物を飲ませたりして、オバケを追っ払うんだとか。いくつもの実績があるから、話が成り立っているんだと思う。
これで一件落着なら、話は簡単なのだが、何やら orang pintar には、「良い orang pintar」 と「悪い orang pintar」がいて、悪いそれは、逆にオバケを人間に入れることが可能だという。
「あいつに、オバケを入れてくれないか?こんな感じのオバケなんだが…」みたいなやり取りがなされているのかは、わからないが、とにかく、悪いorang pintar は、オバケを人間に故意に入れることができるらしい。
そんな行為は、許されたものではないが、今のところまだ法的な縛りはない、という話になっているくらいだから、ホントにそういう話があるんだと思う。
イスラムの教えもうまいことできていて、毎日決められた回数お祈りをしていれば、強い心が持て、オバケなんて決して入ってこない、とのこと。
誰がどこまで信じているかは、ようわからんが、田舎へ行けば行くほど、ブラックマジックを信じる傾向は強いようだ。
信じる信じないではなく、実際にこういった話がインドネシアにはある。だからどうこうという事ではなく、気心知れたインドネシア人との話のネタにでもなれば、ぐらいの感覚だ。
だが一応、ブラックマジックには、ご注意を…。
蛇足─。
トラックアンギンという飲みものが、インドネシアでは知れ渡っている。
(関連記事はこちら↓
http://shogot1978.hatenablog.com/entry/20170211/1486821558 )
この飲みもののコマーシャルに、「orang pintar は毎日これを飲んでるよ!」っていうコピーが使われているとのこと。
何かもう ムチャクチャ だ。
ʅ(◞‿◟)ʃ