チカランの美味しい洋食屋さんをあげろと言われたら、どこをあげるだろうか?
僕は迷わずに、蔵 と答えるだろう。きっとご存知の方も多いはずだ。
蔵は、デルタマスに店を構え、以前は「キッチン18」という店名で、料理を出していた。経営的なことが関係して、店名も変わったと噂では聞く。
余談となるが、キッチン18の前は「キラキラ銀座」がこの場所で営業をしていた。(今はサンクレスト内)
美味しい洋食屋さんにあげた理由は、ハンバーグである。
お馴染みの牛の鉄板にのせられたハンバーグは、ジュージューと音を鳴らし、肉汁を滴らせ、チーズと絡み合い、厚さを強調しながら運ばれてくる。
まさに、目と鼻と耳と舌で楽しめる。
最近は、専らこのモッツァレラチーズハンバーグの虜となっている。
ただ、蔵ではいつも悩まされることがある。
オーダーを「ハンバーグ系にするか?トンカツ系にするか?」の選択に。
トンカツもハンバーグと同じくらいに、高いクオリティで、日本でもなかなかこんなトンカツにはお目にかかれない、という声をしばしば聞く。
昔の僕なら、迷わずにトンカツ系を選択するであろう。
肉にころもを着させ、肉の素材そのものを活かしつつ、サクサク感と油っぽさを寄与する手法は、一体だれがあみだしたのだろうか、といつも感心してしまう。
一方で、ハンバーグはせっかくの肉塊をわざわざ引き千切ってミンチにし、それをまた合わせて塊にする。その一見無駄とも思える行為を、理解できずにいた。さらに、肉が多少悪いモノでも引き千切ってしまうので、誤魔化しのきくあたりが、信頼性の問題ではあるが、あやしんでいた。
そう、蔵のハンバーグを食べるまでは。
初めからしのごの言わずに、とりあえず食べてみれば良かったのだ。ビジネスの世界でも結果が全てであるように、ハンバーグの世界においても過程の文句はたれずに、黙って食べるべきだったのだ。
肉塊を引き千切る工程は、半ば反則的な肉汁という付加価値を寄与するためのもので、決して誤魔化しのためではないのだ。少なくとも蔵のハンバーグは。
話は少々飛んで、じゃあ、メンチカツは何なのか?
トンカツのころもと、ハンバーグの肉汁の合わせ技一本といったところか。そんな邪道な良いとこどりは、許しがたいと思い、グーグル先生に聞いてみた。
すると、「メンチカツは、ミートボールからヒントを得て考案されたのが起源」だとか。
ん?じゃあ、ハンバーグとミートボールの違いは何なんだろうか?大きさか?味付けか?
まあ、何でもよかろうよ。
食べて美味しいなら、過程や謂れに対してブツクサ文句を言うべきではない。
インドネシアでこのクオリティのハンバーグやトンカツを食べられること自体、大変贅沢なのだから。